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名古屋地方裁判所 昭和43年(行ウ)7号 判決 1968年7月27日

豊橋市錦町二二七番地

原告

福井只美

右法定代理人親権者

福井只八

福井米子

豊橋市吉田町一六の一

被告

豊橋税務署長

渡辺武四郎

右指定代理人

東隆一

山田紘

井原光雄

浜島正雄

右当事者間の昭和四三年(行ウ)第七号贈与税課税裁決取消請求事件につき、当裁判所は、次のとおり判決する。

主文

一、原告の本件訴を却下する。

二、訴訟費用は原告の負担とする。

事実

厚告法定代理人は、請求の趣旨として

「一、被告が原告に対し昭和四一年九月二四日付をもつてなした昭和四〇年度分取得価格一、一二〇、三四八円贈与税額二〇一、一五〇円無申告加算税二〇、一〇〇円の賦課決定を取消す。

二、訴訟費用は、被告の負担とする。」

との判決を求め、その請求の原因として、

「一、被告は、原告に対し、昭和四一年九月二四日付をもつて原告が次のとおり福井きとから贈与を受けたとして請求の趣旨記載のごとく贈与税並びに無申告加算税の賦課決定をなした。

(イ)  豊橋市錦町二八八番地外一

宅地四一三・七五平方米(一二五坪一合六勺、時価一、八六三、一二六円)

(ロ)  同市八剣二三番地外

雑地八一九・八三平方米(二四八坪、時価一、四九七、九二〇円)

右土地の共有持分三分の一価額一、一二〇、三四八円

以上

二、原告は、昭和四一年一〇月七日、被告に対し、右決定につき異議を申立てたところ、被告は同年一二月二六日付をもつて右申立を棄却する旨通知した。

三、原告は、昭和四二年一月二四日、名古屋国税局長に対し、右棄却決定につき審査請求をなしたところ、同局長は同年六月二七日付をもつて右論求を棄却する旨通知した。

四、しかしながら、右土地は他人に貸しているものであり、一般の時価に比しその評価が過大であつて、これを基礎にした本件課税処分は違法であるからこれが取消を求めるため本訴請求に及ぶ。」

と述べ、

被告の本案前の抗弁につき、

「一、本件課税処分にかゝる審査請求の裁決書を受領した日が昭和四二年七月一八日であることは認める。

二、しかしながら、原告は右受領日から三ケ月以内に本件につき訴を提起し、名古屋地方裁判所に受領されたのであるが、右訴状が不備であるため完全なものに補正して差しかえるよううながされたので本訴状を提出するに至つたものである。」

と述べた。

被告指定代理人は、主文同旨の判決を求め、

本案前の抗弁として、

「行政事件訴訟法第一四条によれば、行政庁の処分の取消を求める訴は、処分又は裁決のあつたことを知つた日から三ケ月以内に提起しなければならないところ、本件訴は原告が訴外名古屋国税局長の本件課税処分にかゝる審査請求の裁決書を受領した日である昭和四二年七月一八日から三ケ月を経過した後に提起されたものであるから不適法な訴として却下されるべきである。」

と述べた。

立証として、原告法定代理人は甲第一号証を提出し、被告指定代理人は甲第一号証の成立は不知と述べた。

理由

原告が昭和四三年二月一四日本件訴状を提出したことは記録上明らかであり、原告が昭和四二年七月一八日本件課税処分にかかる審査請求の裁決書を受領したことは当事者間に争いがない。そこで、原告は右受領日から法定期間である三ケ月以内に本件課税処分の取消を求める訴を提起すべく訴状を提出し名古屋地方裁判所に受領されたのであるが、その記載要件が不備のため補正して差しかえるよううながされたので本訴状を提出するに至つたものであるから適法な訴である旨主張するが、その主張のような訴状が法定期間内に提出されなかつたことは当裁判所に顕著な事実である。

よつて、原告の本件訴は行政事件訴訟法第一四条に規定する出訴期間を徒過した不適法な訴として却下し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 山田正武 裁判官 日高千之 裁判官 八束和広)

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